倉敷染をつくる人たち

セイショク株式会社

広大な工場内に大小様々な染色加工機が並び、その中を「セイショク」とロゴの入ったキャップを被り、職人さんたちがテキパキと動いています。太陽光を程よく取り込むノコギリ型のあかり取りの屋根が歴史を感じさせるような、セイショク株式会社の岡山工場で姫井社長にお話を伺いました。

セイショク株式会社
代表取締役社長
姫井 明
群馬県利根郡出身

明治13年、織物工場として創業

セイショクの歴史はかなり古く、明治13年に織布工場として創業されました。そこから徐々に他の工程にも手を広げ、大正14年に綿糸の紡績も開始しました。これによって紡績から織布までの生産一貫体制ができました。昭和17年には晒染色工場を買収し、染色加工も手掛けるようになりました。その後昭和20年には制服用の厚地織物製造(織布)を開始しました。さらに昭和35年には人工皮革の染色も開発しました。その後、長らくワーキングウェア(作業服)用の織布と染色加工が主力でしたが、現在は織布を廃止して、染色加工・整理加工工場として稼働しています。

岡山市内にある染色・整理加工場は西日本最大規模で、敷地面積は2万3300平方メートル、生産能力は月産200万メートルあります。現在は使われていませんが、昔は社員寮まで敷地内にあったほどです。現在は受注量に合わせてフレキシブルな生産体制をとっており、その為のボイラー更新など環境に合わせて設備面も更新してきました。

メインとなるワーキングウェア用生地の染色ですが、ワーキングウェアに使用される綿、綿/ポリエステル生地の染色に適した連続染色という方式で生産を行っています。連続染色で生産することで製造コストを下げてワーキングウェアに求められる低コスト、大ロット生産を両立しています。

ワーキングウェアというのは消耗品であり、必ず一定期間で破損して買い替える必要が出てくるため、安ければ安いほど喜ばれます。ただし、同時に製造側に求められるのが高い機能性で、色落ちしにくい堅牢度の高さ、企業向けユニフォームに求められる色ムラ・色ブレの無い均一性です。セイショクはワーキングウェア向けの染色加工で培われた堅牢度の高さ、均一性には定評もありますし、手前味噌ながら自信もあります。また、それらを実現するための徹底した下処理、色合わせにも自信を持っています。

セイショクは理系男子を惹きつけるのか?

近年若手の女性スタッフも増えてきていますが、理系男子スタッフが多いです。理由は分かりません(笑)。セイショクから理系男子を惹きつける何かが醸し出されているのでしょうか?

しかし、染色・整理加工というのは化学・機械・コンピュータ操作が混然一体となった仕事ですので、理系男子スタッフのコツコツ積み上げていく仕事の進め方が合っているのだと思います。

今後は、カジュアルウェア向けなど、より感性の高い仕事を拡大していきますので、若い女性の力を今よりも多く取り込んでいきたいです。

アップサイクル布積層新素材NUNOUS🄬(ニューノス)

正直なところ、国内の繊維関係の工場というのは小ロット化要望にコスト削減要望と厳しい環境にあります。繊維関係の製造加工場としてのみで生き残ることに不安を感じ、新規事業として2018年に「NUNOUS🄬(ニューノス)」事業を立ち上げました。これは加工で必ず生じてしまうB反・C反(検品ではねられた出荷できない規格外生地)の廃棄を減らす一環として思いついたものです。

出荷できない規格外生地をサトウキビ由来のバイオフィルムと交互に重ねて何重にも積層し固める特許技術で、用途に応じた厚さにスライスすることで様々な用途の素材として活用することができます。デザイン性の高い手帳カバーやカードケースの素材としてはもちろんのこと、分厚く切り出せばオブジェなどインテリアの素材にも使えます。

これを従来の受注先とは異なる建築・内装設計、インテリアデザイン業界に地道に営業を続けた結果、ホテルやオフィス、商業空間の装飾やインテリアの一部として採用してもらえるようになり、ようやく手応えを感じ始めています。嬉しいことに欧州ラグジュアリーブランドからの引き合いも出始めました。

次代を担う繊維産業企業100選に選ばれて

セイショクは2023年、経済産業省より「次代を担う繊維産業企業100選」に選ばれ、本業ではワーキングウェア業界を主要顧客としてきましたが、今後はカジュアルウェア向けの小ロット多品種生産にも対応していき、販路を広げたいと考えています。


倉敷染めに参加して天然染料染などサスティナブルな染色技術の開拓を進めていましたが、今年閉鎖となった山陽染工児島ファクトリーさんから、「ダスティ加工」用の機械設備とノウハウを引き継ぐこととなったので、その技術とノウハウを習得してカジュアルウェア向けの小ロット加工や高感度高付加価値加工で販路を拡大していきたいと考えています。その為の、機械設備の受け入れ準備を工場内で進めているところです。


今後は今まで培ってきたワーキングの技術とサステナブルな染色に加え新たにカジュアル向けの技術を融合してセイショク独自の新しい技術を確立していきたいです。
国内に残る染色加工場として我々の技術を必要として頂けるお客様と共に成長していけたらと思っています。